皆さんの中にも、「平成30年問題」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか?
実は、この「平成30年問題」は、現在働いている労働者やこれから働く労働者の方に、大きく影響する重大な問題になります。
そこで今回は、この平成30年問題とは、どのようなものなのか詳しく解説していきたいと思います。
□「平成30年問題」とは?
平成30年問題とは、労働契約法と労働者派遣法の2つの法律の改正による雇用形態や契約期間に関する問題になります。
では、まず、この2つの法律が、どのようなものに改正されたのかについて説明していきます。
*「改正労働契約法」
もともと、労働契約法は、平成20年から施行された法律になります。
この法律が成立されたことにより、労働契約について定められた様々なルールがより分かりやすい形として公表されたのです。
その後、平成24年に改正され、有期労働契約によって反復更新される過程で生じる「雇い止め」に対する労働者の不安を解消するために、「5年ルール」を導入しました。
5年ルールとは、5年を超える有期契約労働者に対しては、「無期雇用転換を求める」というルールです。
その他にも、「雇い止め法理」の法定化、「不合理な労働条件の禁止」が追加されました。
*「改正労働者派遣法」
派遣社員は、正社員と比べて不安定で賃金も低く、福利厚生も劣る部分があります。
そのような問題から、労働者の権利を守り、就業条件や賃金、福利厚生などの規定を定めた法律を、労働者派遣法と言います。
その後、この法律は、平成24年に改正され、派遣社員は同じ派遣先企業で働けるのが3年までとなりました。
しかし、派遣会社に無期雇用されている場合は、適用されません。
この2つの法改正の適用によって、無期雇用転換が可能になり、3年までの期限が適用される最初の期限が平成30年になります。
よって、パートやアルバイト、派遣社員などの有期雇用者を抱えている企業は、対応や準備が求められています。
その際に、企業は、コストの増大が生じてしまう可能性があるため、その対策として大量の雇い止めが起きる、つまり失業者が出ることが恐れられているのです。
この問題を、「平成30年問題」と言います。
□無期雇用転換のメリットって?
平成30年から無期雇用転換が可能になるとお伝えしましたが、どのようなメリットがあるのでしょうか?
最大のメリットと言えるのは、雇用の安定性になります。
アルバイトやパート、派遣社員などのような働き方では、決して安定性があるということは言えませんでしたよね。
仕事をする上で、安定性を重視される方も多いでしょう。
また、改正労働者派遣法によって、同じ派遣先企業で働ける年数が3年までという制限ができました。
どうしても、年齢を重ねると次の仕事を見つけるのも、難しくなってしまいます。
よって、無期雇用転換により、その手間と不安を解消できるのは、労働者にとって大きなメリットになるのです。
ただし、注意点もいくつかあります。
まず、前提として正社員になるということではありません。
よって、福利厚生や給料などの待遇に違いがあったり、賃金が下がったり勤務時間が変わったり、これまでより不利な条件になることもあるのです。
そのため、無期雇用転換することで、自分にどのようなメリットがあるのかを総合的に判断するようにすることが重要になってきます。
□最後に
今回は、平成30年問題とは、どのようなものなのか詳しく解説していきました。
平成30年問題とは、どのようなものか分かっていただけたでしょうか?
労働者にとっては、大きな問題となり、これからの働き方を見つめ直す機会になるでしょう。