平成30年(2018年)は有期雇用を行う企業にとっての転換期になりました。
今回の記事では「平成30年問題」についてお伝えします。
目次
□無期雇用
無期雇用とは、契約期間の定めがない雇用を指します。
無期雇用の反対は有期雇用と言い、派遣社員や契約社員がこれに当たります。
(しかし派遣であっても、派遣会社との無期雇用・常用型派遣の契約を締結すれば、無期雇用に当てはまります。)
無期雇用の主なメリットは、有期雇用より給与や待遇が安定している点です。
無期雇用は雇用に期限がなく、安定的に収入を得ることができ、途切れる心配が不要です。
また給料は一般的に月給制で、毎月安定した額の収入が入ります。
待遇面に関しても福利厚生等が充実する可能性があります。
□無期雇用における「無期転換ルール」
*無期転換ルールとは
有期労働者契約が更新され、5年を越えたときに、労働者の申し込みにより無期労働契約に転換されるルールです。
労働者が条件に適した状態で申請すれば、使用者側は申請を断ることができません。
労働者は条件に適した状態であれば、雇用期限内にいつでも申請できます。
□「平成30年問題」
平成30年問題とは、多くの会社が平成30年に「労働契約法」「労働者派遣法」の改正による影響を受ける、という意味でつくられた言葉です。
これらの法律の改正により、有期雇用者が無期雇用者として転換し、無期雇用者の人数が増えるため、会社の負担が増えると考えられました。
そして会社の負担が増えれば大量の雇止めが起こるのではないか、という危惧を表した言葉が「平成30年問題」です。
□「労働契約法」、「労働者派遣法」とは
改正された「労働契約法」、「労働者派遣法」とは一体どのような法律なのでしょうか。
*労働契約法
労働紛争を防ぐため、労働契約に関する基本的なルールを規定した法律です。
現代では目まぐるしく就業形態が多様化しました。
それにつれ、労働者の労働条件が個別に決定されるようになり、個別労働紛争も増えています。
政府は紛争防止のために労働契約法を改正し、主に以下の三つのルールが生まれました。
・5年ルール
有期労働者契約が更新され、通算5年を越えた場合、労働者からの申し込みにより無期労働契約に転換されるルールです。
つまり「有期雇用から無期雇用に変わるためのチャンスを法律化した」ということです。
・雇止めができない
雇止めとは、有期雇用に関して労働の契約期間が終了する際に使用者側から更新を拒否されることです。
雇用者側が一定の条件では労働者を雇止めできないことを法律に明文化しました。
・不合理な労働条件の禁止
有期契約労働者と無期契約労働者間において、期間の定めがあることによって不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するルールです。
*労働者派遣法
派遣労働者の就業規則に関する整備、労働者の権利についての法律です。
平成27年に大改正され主に以下の三つのルールが注目されました。
・派遣事業が許可制に
改正によって全ての派遣事業が許可制になりました。
・3年間の期間規制
派遣労働者は職種に関係なく、同じ業務に3年以上行ってはいけない規制です。
同じ課に同一人物が3年以上の派遣する場合、使用者はその労働者を直接雇用する義務が発生するのです。
・雇用安定措置の実施義務化
具体的には派遣先の同じ課へ3年派遣されたときに、「雇用安定措置」が義務付けられる制度です。
(1年以上3年未満の場合には、努力義務とされます)
※「雇用安定装置」
・派遣先への直接雇用の依頼
・新たな派遣先の提供
・派遣元での(派遣以外の)無期雇用
・教育訓練や紹介予定派遣など雇用の継続を図る措置
□まとめ
平成30年問題に関してご紹介しました。
派遣で働く方は無期雇用への転換を目指して働くのも良いですね。