長期間1つの会社で契約を更新している派遣社員の方の中には、無期雇用に転換して働きたいと考えている方も多いのではないでしょうか?
ただ、無期雇用になったら現在と契約の条件変更が行われるかもしれません。
そこで今回は、無期雇用に変換した際の労働条件変更についてご説明致します。
目次
□無期雇用とは?
無期雇用とは、派遣労働者が期限なしでその企業で働くという雇用形態のことです。
5年以上同じ企業で契約更新している派遣社員の方が対象となっていて、定年まで派遣切りをされることなく労働できるようになります。
その逆が有期雇用で定められた期間の間だけ派遣される雇用形態です。
両者にはそれぞれ様々な違いがありますが、どちらも派遣での雇用という点は同じです。
□無期雇用に転換すると正社員扱いになるの?
無期雇用ということは、雇用の期間がなくなるということです。
つまりずっと同じ企業で働き続ける正社員と同じような待遇になると思うかもしれません。
ただ、原則として待遇は直前の有期労働者と変化しないという規定になっています。
無期雇用に転換しても福利厚生や給与が正社員と同じになることはほとんどないということです。
また、雇用区分に関しては会社ごとに定められているので一概には言えない項目になります。
労働条件や給与は有期労働者の頃と変わらないと考えておくと良いでしょう。
□労働条件変更には合理性が必要
先ほど、無期雇用に転換しても原則として労働条件変更はないと言いましたが、例外もあります。
個々の労働契約で別段の定めがある場合、つまりそれぞれの労働契約でお互いが合意した条件がある場合です。
例えば、次の例を見てみましょう。
ある会社では有期契約の労働者に正社員より高い賃金を払ってきました。
多くの会社では短期間で成果を上げなければならない有期契約の労働者に多くの賃金を渡すのは妥当だと考えているからです。
ただ、その有期労働者が無期転換をしてしまい、長期的な雇用を会社が保証しなければならなくなったとします。
この場合、無期転換時に賃金を下げることで、定年制のある正規と同じ賃金まで給与が下がるのでしょうか?
答えとしては、そこに合理的な理由があれば賃金が下がってしまいます。
□合理性の判断はどのように行われる?
では合理的な理由とはどのようなものなのでしょうか。
まず大前提として両者の合意が必要です。
労働者が合意していないのに、雇用主側の独断で給与を下げてしまえばそれは違法となります。
そのほかにも合理性の判断には次のようなものが使われます。
・労働者の受ける不利益の程度
これはどれだけ労働者が不利益を被るかを判断します。
具体的には賃金や労働環境の悪化のことを指しています。
・労働条件の変更の必要性
本当に変更する必要があるのか?
変更することによってどのようなメリットがあるのか?を判断します。
・変更後の就業規則の内容の相当性
条件を変更した後に内容は妥当であるかを判断します。
さらに労働組合との交渉や諸事情が関わることもあります。
これらを全て考えた時に合理的だと判断されれば労働条件変更が行われると覚えておくと良いでしょう。
例の場合だと、両者の合意があり、仕事内容も給与に見合ったものであれば労働条件の変更が認められるということです。
□まとめ
今回は、無期雇用に転換した時に労働条件が変更されるかどうかについてご説明致しました。
原則として、無期雇用に転換しても労働条件は有期雇用の時のままだということを覚えておいてください。
また、労働内容の変化や労働者の不利益を総合的に判断して、合理的な理由があれば労働条件が変更される例外があることもわかりましたね。