「『働き方改革』の必要性が叫ばれていて、実際に導入している企業もあると聞くけれど、具体的にはどんな企業がどんな改革をしているのだろう?」
このように、疑問に思っている方はいらっしゃいませんか?
ベンチャー企業など、一部の企業だけが積極的に「働き方改革」を取り入れているイメージがあるかもしれません。
しかし最近では、従業員を雇用しているあらゆる会社において「働き方改革」が行われる傾向にあるのです。
今回は、働き方改革として具体的にどのような施策が実施されているのかをご紹介します。
目次
□働き方改革の背景
現在、日本の労働人口は著しく減少しています。
労働人口はピーク時の半分以下にまで落ち込んでおり、これからも減少し続けるだろうと言われています。
このままだと、労働量が大きく不足することは避けられません。
労働力不足を阻止するための対策として考えられるのは、働ける人の数を増やすこと、出生率を上げて将来の労働人口を増やすこと、そして労働の生産性を上げることの3つです。
労働力不足を解決するため、これらの対策を行うことを「働き方改革」と呼んでいます。
□働き方改革の3つの柱
働き方改革を推し進めていくために、具体的にはどのような課題を解決していけば良いのでしょうか。
一般的には、「長時間労働の解消」「非正規と正社員の格差是正」「高齢者の就労促進」が働き方改革の3つの柱であると言われています。
*長時間労働の解消
長時間労働こそが正義であるとする日本の古い考えを改めることで、仕事の生産性を向上させられます。
また、長時間労働を求められるのは子育て世代であることから、長時間労働を解消すれば出生率の上昇も期待できます。
*非正規雇用者と正規雇用者の格差是正
非正規と正社員の格差を是正すれば、労働者の約4割を占めている非正規雇用者の力を最大限発揮させることができ、生産性の向上につながります。
*高齢者の就労促進
高齢者の就労を促進することで、働き手を確保することが可能になります。
□製造業における働き方改革の事例
*トヨタ自動車の例
トヨタ自動車では、工場従業員の賃金の見直しが行われました。
子育て世代の賃金が引きあがるように賃金カーブを改正する、大手企業にありがちな年功給から能力給に切り替えるといった施策がとられたのです。
この施策は、出生率の上昇と生産性の向上が期待できるでしょう。
さらに、事務系や技術職の社員は在宅で勤務できたり、女性に優しい育児応援制度が取り入れられたりしています。
大手製造系企業の中でも、働き方改革に先進的に取り組んでいるのですね。
*セラテックジャパンの例
この企業では「ミニカンパニー制」というチーム制を導入しています。
そうすることで、個人への負荷が低減され、所定外労働時間の削減と年休取得促進が実現しています。
それに加えて、同社では誕生日休暇や計画的有休付与制度の導入も行っています。
このような働き方改革をしたことで、企業側にも嬉しい効果が得られました。
優秀な人材が定着したり、社会的に評価されるようになったのです。
*ダイニチ工業株式会社の例
短時間労働を行っている工場従業員に優しい「子育てライン」を設置しました。
業務用ストーブを生産するラインを短時間労働者専用の生産ラインとすることで、途中で退社することへの精神的抵抗を減らすことに成功したのです。
この取り組みは短時間労働をしている主婦層から評価され、育児休暇を取った社員全員が職場復帰を遂げるという結果にもつながっています。
□まとめ
今回は、働き方改革として具体的にどのような施策が実施されているのかをご紹介しました。
今回ご紹介したのは一例にすぎず、様々な業界で様々な形の働き方改革が実践されています。
しかし、今の状態が完璧であるとは言えません。
社員がいつでも気持ちよく働ける環境を整えるためには、これからももっと働き方改革を推進していかなければいけないでしょう。
従業員を雇用しているすべての企業において、働き方改革を積極的に取り入れる必要があるのです。